さて、もう契約し、建物も立っている建築会社になぜ依頼することになったのかがわからない、ということをどこかで書きました。
経過としてわかっていることは、
・私、建物の頑強性を求めて、鉄骨メーカーと話す、しかし提示される外見が似たり寄ったり、またぼんやり求めていた気密性や断熱性は鉄骨を使うととても難しいことが判明。
・昨年8月に立ち寄ったあるハウスメーカーのモデルハウスで、妻が一言もらした「こういう、ヨーロピアンがいいのよねー」がすべての転機だったように思います。
・妻は、ピアノの修行などで都合、パリやブリュッセルで20代の前半の8年くらいを過ごしている。
・私が、現在頼んでいる工藤建設の設計士Kさんが見せてくれた様々な資料に感銘したのが、今日、腑に落ちました。連想としては、何年か前から、世界遺産に登録を試みている、長崎、平戸、五島の建築群の写真を見た時に感じた言葉を失う感じです。これら建築群の中心をなすのは鉄川与助が独学で建てた・進化させた、木造、レンガ積み、鉄筋コンクリート(!)の建物群。これら写真を見ると、現代のいわゆる「輸入住宅」に通じるものがあると考えるのは私だけでしょうか。北米や、欧州だけで、手に入る建材と工法だけを用いて、日本の風土に合う建物をたてるのは難しくとも、その意匠や性能や、その良いところを取り入れた日本風輸入住宅を追求するのは、家を建てる施主と、家を建てるハウスメーカーとしても追求しても良いものと考えます。
・基本、私は、あまり自分の価値観を人に押し付けるのが苦手で、「わかってくれる人だけ、分かればいいや」という言葉が一番しっくり来ます。その意味で、北米や欧州の住宅を、日本で工法、建材、建具、あらゆる面に「本物」にこだわって建てるのも良さがわかるのも反面、そこまで目くじらたてずとも、日本のメーカーで良い物を作っているものは取り入れ、どうしようもない日本の法令ともつきあって、満足がゆく家をたてるのも選択肢と思います。
さて、本日、気がついたこと。
私が幼稚園時代に、金沢市の中心地に今でもあるキリスト教の教会に隣接する幼稚園に通っていました。さすがに信徒でもない者が、日曜は礼拝しないのですが、月曜になると幼稚園児は教会に集められ、記憶は定かでないのですが、イタリアからやってきて不思議に流暢な日本語を話す神父さんたちから、おそらくは聖書に基づいた話を聞かされたのでしょう。そこで心理に焼き付けられた、様式美や、古典的意匠や、明と暗のコントラスト、ステンドグラスの持つほの暗い寓話性に対する、無条件の畏敬とでも言うべき感情は、おそらく形をかえてもヨーロッパの様々な土地で見られ、共通する意匠を目にする時に感ずる感情を説明するかもしれません。
つまりは、大げさに言えば、世界の建築におよそ10から12世紀ほども影響を与え続けたデザインの根底に感ずる何かを、夫婦でまったく別々の位相でありながら体験している。それは、ヨーロッパや、北米でも歴史のある街に立つと感じる「何か」に通じていると思います。
そういったものが、感じられる家を立ててくれる、設計士さんと建築会社に出会えた、と直感したのが、この会社にお願いした理由ではないかと思い当たった今日でした。
2018年5月8日火曜日
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